TK@wm1a

オーディオ関連のレビューを適当にしています。

【雑記】僕とPianoForte IX。

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先月、final PianoForte IX (FI-PF9DSS3)というイヤホンをゲットしました。大変気に入っており、そのイヤホンについて少し感想を残しておこうと思います。これはレビューではなく、僕が思ったことを適当に書き綴っただけです。そのため、カテゴリは雑記としています。

 

まず、今まで少しずつイヤホンを集めてきましたが、先日断捨離ということである程度売却しました。今までは「色々な音をなんでも聴いてみたい」というコンセプトで僕は趣味のポタオデを楽しんでいました。では2021年の今年はどうかと言うと、「唯一無二の音を聴きたい」というのを目標に趣味を楽しんで行くことにしました。そのため、収集しているfinalのイヤホン、思い入れのある機種を除き、なんでも聴けるような万能タイプのイヤホンは売却することにしました。

 

2011年4月22日発売のPianoForte IXは、もうすぐ発売から10年を数えようとしています。まだfinalがfinal audio designという名前でイヤホンを作っていました。値段は税込98000円と、かなり高価なイヤホンです。何度か付属品の仕様が変わっていたりしますが、イヤホン自体は発売当時から変わっていないはずです。

 

 

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最初に目を引くのは見た目だと思います。シルエットでわかるイヤホンの一つでしょう。筐体は非常に大きく、特徴的な音導管が伸びています。最初にPianoForteを見た人が思うのは、「イヤーピースは?」だと思いますが、このイヤホンはイヤーピースを使用しません。そのまま耳に突っ込むだけです。これがPianoForteの音の肝だったりするのですが、今回はレビューでもない感想文なので、難しい話は公式サイトに任せることにします。

 

このPianoForte IXは筐体がすべてステンレス製なので、装着した直後はかなりヒンヤリしていますが、体温で温まると不思議と何も装着していないように感じます。かなり筐体が重く、装着感も褒められたものではないですが、だんだん耳から装着している感覚が消えていきます。E5000と比べると笑ってしまうほどの重量の差ですが、実はE5000よりも馴染んだPianoForte IXの方が好みだったりします。

 

 

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音質ですが、このイヤホンは衝撃でした。ズバッと言ってしまえば、ロックや早い曲はかなり籠もって感じます。とても定価が10万円近いイヤホンとは思えません。16mmのダイナミックドライバーから発せられる音は筐体内を反響し、空間を伝わって耳に届きます。その際に音数が多い曲はどうしても音が被ってしまい、籠もったように感じてしまいます。

 

これは個人的な意見ですが、音楽に出てくる楽器・ボーカルを登場人物と考えるなら、このイヤホンのステージには2人までしか上がれません。しかも、ステージが狭くて2人しか上がれないわけではなく、ステージは2人以上立てるのに、2人までしか演奏することができないのです。しかし、その人数制限をクリアすれば、持っている性能を発揮してくれるように思います。

 

アコギの弾き語りなどは非常に合います。僕はヨルシカが大好きなので、本当はヨルシカに合うイヤホンが欲しかったのですが、流石に楽器の数が多すぎて合いませんでした。

 

もう一つ僕が好きなアーティストにamazarashiがあり、「anthology1386」というPVを集めたDVDに収録されている「僕が死のうと思ったのは」の弾き語りバージョンがあるのですが、何度聴いても鳥肌が収まらないほどボーカルの秋田さんの力強い声に痺れます。こういう生演奏もPianoForteの得意分野だと思いました。

 

基本的に優しい音なので、ずっと聴いていることができます。カナル型のイヤホンだとずっとつけていると耳が疲れるんですが、PianoForteは何時間でも聴いていられます。スピーカーと同じ鳴り方をするわけではないですが、気持ち的にはスピーカーで聴いているときと同じ感覚です。

 

 

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特に素晴らしいのはPianoForteの名前の通り、ピアノの音でしょう。知っている方もいると思いますが、PianoForteとは楽器のピアノの本来の呼び名です。弱い音(ピアノ)も強い音(フォルテ)も出せることからこの名前が付いたそうです。

 

ピアノは小学校、中学校でほとんどの人が近くで聴いたことがあると思います。ピアノは美しい華やかな音を出すイメージがありますが、実際に近くで学校に置いてあるようなピアノを聴くと、結構内部で反響していて意外とクリアじゃない印象がありました。ピアノは弦だけで音を鳴らしているわけではなく、弦の下にある響板に振動が伝わることで大きな音を出しています。音色こそピアノは美しいですが、実際の音って最近の解像度重視のイヤホンで流れてくるような音じゃないと思っていました。

 

ではPianoForteはどうかと言うと、中学生のときに音楽室で聴いたあのピアノの音のそのままでした。内部の弦をハンマーが叩き、響板が振動して空気に伝え、大きな音を出す。この音の響き、空気感を感じることができます。まさにこの空気感こそ、このイヤホンのすべてだと思います。高域がどうとか、低域がどうとか語るのは無粋かもしれません。最早、PianoForteという音かもしれません。本当の高価なピアノはもっとクリアに聴こえるかもしれせんが、僕の思い出の中のピアノの音とはまさにこの音でした。田舎の中学校だったので、あまり良い楽器は揃っていなかったと思います。でも僕が中学生の時に聴いたあのピアノの音そのままが流れてきたときは、昔を思い懐かしむ気持ちでいっぱいになります。この唯一無二の音こそが、僕を魅了した音でした。

 

今年の趣味の目標は「唯一無二の音を聴きたい」、この目標に間違いなく合うイヤホンだと思います。とはいえ最初は正直失敗したと思いました。いくら特徴的な音と言われるイヤホンとは言え、ここまで解像感が無いとは思いませんでした。やはり試聴は大事です。どんなイヤホンであっても試聴して購入することが望ましいですが、もし僕がPianoForteを試聴していたら、良さに気づくこと無く、そのまま購入することは無かったでしょう。不思議な縁で偶然出会ってしまったこのイヤホン、大事に使っていきたいところです。